葬儀の生前準備

〇生前準備とは

葬儀の生前準備のシステムは米国で開始されました。北米では「プレニード」と呼ばれます。葬儀について本人が生前に契約を結んでおくことです。米国では葬儀社の98%がこのシステムを扱っています。日本では1993年秋にリス(LiSS)システムが登場したのが最初です。

生前契約は、次の2段階からなります。

①葬儀の内容を取り決め、

②葬儀の費用の支払い方法を定める

しかし、日本ではその後、契約までは至らない、ゆるい予約を意味するさまざまな生前準備システムが現れ、今日に至っています。

〇生前準備が登場した背景

米国で生前契約(プレニード)が普及した主な理由には、

1.米国は日本と異なり個人社会であり、香典という習慣もなく、葬儀費用は全て遺族の負担となること

2.葬儀によって遺族に経済的負担をかけたくないとする人々が増えたこと

3.葬儀の仕方に自分の意思を生かしたいとする人々が増えたこと

の3つがあげられます。

一方、日本は米国と比較すると共同体社会であると言われてきました。葬儀においても共同体(地域という地縁、企業という社縁、親族という血縁)の力が強く、その運営方法も故人の意思よりはとかく共同体の意思が優先されるものでした。また、費用も「香典」という習慣により賄われる部分が多いのが特徴です。

こうした社会的変化を背景として、米国と同様に「子供に頼れない」「子どもに迷惑をかけたくない」「死後のことにも本人の意思を反映させたい」とする考えをもつ人が、高齢者を中心に増加する傾向にあります。

これらが日本においても生前準備システムが登場し始めた原因と考えられます。

調査によると約3割の人々が生前準備システムに関心があるとされ、実際に契約に至るケースはまだまだ少ないものの、今後のシステムとしてすでにさまざまな生前準備システムが登場しており、注目を集めています。

〇生前予約・契約で注意すること

生前予約・契約は「いつとは定まっていない将来に対する契約」ですので注意することがいくつか存在します。

1.更新についての規定があること

契約内容については、将来において本人の意思が変わることもありますし、料金が変動

する可能性もあります。「5年おきに更新する」などの規定が必要です。また、解約の自

由が保証される必要があります。

2.できるだけ家族の同意を取りつけること

本人の意思だけでは、実際の施行にあたり家族とのトラブルを生じかねません。できるなら約にあたり家族の同意をとりつけることが望ましいところです。

また、家族と意見が対立していても、本人があくまで自らの意思を通すときには、葬儀の生前契約を公正証書にしておく必要もあります。

3.費用の支払いは施行後にすること

契約時に費用の前払いを受けることは望ましくありません。企業の将来は未定ですから将来の保証を安易に行うべきではありません。支払いは将来の施行の終了後に受ける必要があります。

4.支払い原資の確認をすること

契約の対価としては、保険、預貯金、不動産売却などがありますが、保険または預貯金による、目的用途を明らかにした原資の確認が必要です。本人からではなく、家族から支払いを保証する約束を取りつけることも考えられます。

5.契約を明確にすること

特に将来におよぶことである以上、口頭による信頼ではなく、文書による明確な契約が必要です。これは消費者および業者双方にとって必要なことです。もちろん将来保証できないことまでを内容に盛り込むといった責任のない契約はできません。

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