海外の葬儀事情

日本国内においても、沖縄から北海道まで葬儀の風習はさまざまです。同じ宗教であっても、地域により葬儀の仕方は必ずしも一様ではありませんし、死者に対する扱い方も異なります。私たちが諸外国の葬儀を考えるとき、相手を理解する立場で接する必要があります。日本の葬儀習慣を強制することは国際摩擦を引き起こす原因にもなりかねません。

 

〇葬儀業を囲む環境変化

東アジアでは儒教の影響が強く、手厚い葬儀が行われますが、その1つ韓国では1969年に冠婚葬祭などの儀礼の簡素化を規定した法律が施行されました。その結果、葬儀社が出現し、葬祭業者の組織化も進みました。中国においては、国が殯葬改革を進め、葬儀の近代化、火葬の推進に精力的に取り組んでいます。欧州では、欧州共同体の動きに合わせるかのようにして、葬祭業者が国境を越えて活動するようになっています。

全世界を見渡せば、まだまだ地域共同体による葬儀が多く、葬祭業者の確立を見ないアフリカ、アジア地域や、公営が多い東ヨーロッパ諸国などもあります。しかし、近代化にともなって葬祭業者の確立が図られると共に、各地で業界団体の組織化が進行しており、公的な資格制度を採用する国もふえつつあります。それまで社会的地位が高くなかった葬祭業者の地位向上に向けての努力が盛んに行われており、IFTA(イフタ、International Federation of Thanatologists Association 国際葬儀連盟)など国際的な葬儀業者の協議団体も組織され、国境を越えた取り組みもいっそう活発になると予想されます。

 

こうした中で、欧米の業者を中心に葬祭業の業務範囲の拡大と質の変化が課題となっています。葬儀の準備とその施行という狭い範囲の業務にとどまるのではなく、埋葬や火葬に必要な書類や死亡した病院での手続き、保険金の請求業務の助言や代行、遺体の長距離・国際間移送、エンバーミングなどの遺体処置、生前予約、遺族のカウンセリング、火葬業務、墓地経営など、死によって引き起こされる一切の業務について遺族の相談にのり、必要な手続きを代行するという、総合的な業務をするよう変化しつつあります。

また、こうした業務範囲の拡大にともなって、近代企業への脱皮がなされ、経営学の知識、コンピュータ利用法といった近代経営に必要な知識や技術はもちろん、葬儀の歴史や倫理、心理学、病理学・細菌学・解剖学などの医学、葬儀に関連する法規など、業務に関連する専門的知識、技術の習得が求められるようになり、そのための教育機関も現れています。また、葬祭業の社会的な役割が強まることによって必然的に強化されるのが社会的な責任です。企業として納税義務があることなどはもちろん、消費者保護や災害時における救援活動などは葬祭業者が自覚的に取り組むべき課題となっています。

 

〇イスラム文化圏の葬儀

近年、中近東から来日する就労者や就学者も増えており、イスラム教徒の葬儀習慣を知らないために、遺体を火葬に付して問題になったこともありました。国や民族により違いはありますが、イスラム教国の諸国においては宗教が生活の中に深く根ざしており、死に対してもイスラム教の教えが強く影響しています。

イスラム教では、死はアラー(神)に定められたものであり、死者はやがて来る裁きの日に復活するまで待機のときを過ごす。周囲の人々はこれを落ち着いて受け止め、過度に嘆き悲しむことなく速やかに死者を見送る必要がある、としています。したがって、当日もしくは翌日には埋葬され、火葬は固く禁止されています。復活の日に「五体満足」である、また、火で体を焼くのは煉獄に落ちた者への罰である、と説明されています。

まず遺体は、ムスリム(イスラム教徒)の仲間によって水で清められ、白布に包まれ、棺または台に載せられ、男性だけによる葬列を組んで墓地へ行きます。都市部では、郊外の墓地まで遠いため、霊柩車も使用されます。途中にモスク(イスラム教の礼拝所)があると立ち寄って拝礼し、葬列に出合った人は起立して見送ります。墓穴には白布のまま埋葬されることが多いようです。墓標を高く建てることは少なく、埋葬跡には石を置く程度です。服喪は基本的には3日間で、この間に弔問を受けます。弔問の主たる目的は死者の身内を慰めることにあります。死者や墓は粗末にはしませんが、過度に賛美したり、大げさに弔うことはしてはいけないとされます。エジプトなどの都市部では葬祭業者の存在も認められますが、信仰を同じくする仲間により葬ることが原則となっています。

 

〇北米の葬儀事情

北米では、葬儀社に就職するにしても経営するにしても、見習いは別として、資格が必要です。資格には連邦政府資格と州政府資格があり、州によりその必要な資格が定められています。

資格はフューネラルディレクターとエンバーマーの2つに分かれており、フューネラルディレクターは、通常はエンバーマーの資格も併せて保有しているケースが多いようです。 エンバーマーはエンバーミング(遺体衛生保全、遺体に対する消毒・防腐・修復・化粧の処置の総称)の技術者、フューネラルディレクターは葬儀全般の担当者で、消費者との対応は全てフューネラルディレクターの業務です。

この2つの資格を得るためには、原則として1年以上の葬儀専門学校(または大学の葬儀学部)での履修の後、1年以上の実習を経て試験を受け、合格しなければなりません。また、資格の更新も必要で、1回合格したら永久に有資格者となれるわけではありません。 エンバーマーになるためには、化学、細菌学、解剖学、病理学を学び、薬品や遺体処置に必要な医学的知識および処置の技術を習得します。フューネラルディレクターになるためには、医学関係の知識などに加えて経営実務、社会学を学ぶと共に、葬儀の歴史などの専門的知識および遺族に対応するために必要なカウンセリングや心理学についても学びます。北米の葬儀はまずエンバーミングから始まります。病院などで亡くなった遺体は日本の斎場にあたるフューネラルホームに運ばれます。遺族の9割以上がエンバーミングを望む米国では、遺族の依頼、同意の下でエンバーミングが行われます。この間、フューネラルディレクターは遺族に棺など必要な葬具を提示し、実際に見せ、葬儀をどう行うかを相談し、費用を見積もります。どんな音楽をしようするか、どのような花を使うかなども細かく相談しますが、このとき、フューネラルディレクターは遺族に対して情報は公開するものの、どのサービス、どの物品を選択すべきかを勧めてはいけない、と法律で定められています。(消費者の選択権確保)

葬儀の実質的な中心は、日本の告別式にあたるビューイング(またはビジテーション)です。エンバーミングが済み、棺(キャスケット)に横たわった遺体と告別に訪れた人々が一人一人一定の時間内でお別れをします。宗教的な儀礼は、フューネラルホーム内のチャペルでの葬儀式、墓地での埋葬式が一般的です。フューネラルディレクターは、埋葬あるいは火葬までの葬儀の運営、手続きの代行を行うほか、葬儀後の遺族を訪問し、その悲嘆のケアも担当します。

米国ではサナトロジー、デス・スタディと言われる死や遺族の非嘆を扱う学問も発達しており、この学問成果を活かすことにも熱心です。また災害時は、フューネラルディレクターやエンバーマーが、警察、消防、医師などと共に、緊急派遣の一員に組み込まれており、死者の遺体処理、搬送を担当するなど、その社会的責任は重いものがあります。葬祭業者は専門家として社会的な地位を高めていると共に、消費者運動が活発で、消費者の強い監視の下にあるということも米国の葬祭業を囲む環境の特徴となっています。

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遺言

「遺言」は通常「ゆいごん」と読みますが、法律的には「いごん」と言います。自らの財産などを自らの死後どうするかについて、生前定めておくことを言います。

遺言と似たものに「遺書」がありますが、法律的には効力をもちません。これに対し遺言は、有効となる内容と形式が全て法律で定められているものです。

遺言として法的に有効なのは、主として財産に関する事項ですが、その他、相続人を廃除したり、子の認知をしたり、未成年者である子の後見人、後見監督人を定めたり、遺言の執行者を定めたり、祭祀承継者を指定したりすることもできます。「葬儀はこのようにしてほしい」などと遺言に書いても法律的には無効ですが、遺言自体が無効になるわけではありません。

遺言できる人は満15歳以上で(民法第961条)、また、夫婦など複数の者が同一内容の遺言を同一証書ですることはできません。(民法第975条、共同遺言の禁止)。

 

〇遺言の方式

遺言の方式には「普通方式」と「特別方式」があります。

「普通方式」には、自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類があります。(民法第967条)。

「特別方式」は、普通方式の遺言がかなわない特別な状況でなされる遺言で、死亡危急者の遺言、伝染病隔離者の遺言、在船者の遺言、船舶遭難者の遺言、の4種類があります。(第976~979条)これら以外の方式によるものは遺言として認められません。

 

〇普通方式の遺言

❶自筆証書遺言

遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を全て自書し、印鑑を押したもので、追加、削除、変更の方式も定められています。(民法第968条)特別な費用もかからず、最も簡単な方式ですが、法律の専門家でない場合には不備や不完全である心配もあります。実際、遺言の効力や本人の直筆かどうかは裁判で争われることもあり、確実性の点で問題があります。自筆が条件ですから、ワープロで書かれたものや、コピーは無効とされます。

自筆証書遺言は、死後に家庭裁判所による検認を受ける必要があります。また、封印のある場合は家庭裁判所で開封する必要があります。(民法第1004条)。

❷公正証書遺言

最も安全、確実な遺言の方式です。公証人が遺言者の口述に基づき公正証書として作成するものです。証人2人以上の立ち会いが必要です。(民法第969条)。

公証人に支払う手数料が必要ですが、専門家が作成するので無効のおそれがなく、原本が公証人役場に保管され、家庭裁判所による検認の必要もありません。

❸秘密証書遺言

公正証書遺言は公証人、証人の前で遺言内容を明らかにするものですが、秘密証書は、遺言内容は秘密にしたまま、その封印したものを公証人、2人以上の証人の前に提出し、自己の遺言書であることを証明してもらうものです。(民法第970条)

遺言証書の全文を自書する必要はなく、ワープロでもかまいません。但し、署名し、印鑑を押し、同じ印鑑で封印します。文章の追加、変更、削除は、定められた方式によります。死後、家庭裁判所で開封、検認を受ける必要があります。

 

以下のものは、あくまで遺言者が普通方式の遺言が不可能な、特別な状況にあるときだけに認められる遺言の方法で、遺言者が普通方式の遺言が可能になり6ヶ月生存したときには無効となります(民法第983条)。

 

〇特別方式の遺言

①死亡危急者の遺言

病気などにより死亡間近に迫った者が遺言しようとするとき、証人3人以上の前で口述し、証人の一人が筆記して各証人が承認して著名し印鑑を押したものです。遺言の日から20日以内に家庭裁判所に提出し、家庭裁判所が遺言者本人の真意であると確認しないと効力をもちません(民法第976条)。

②伝染病隔離者の遺言

伝染病のため隔離されて交通が絶たれ、人の行き来のできない場所にいるとき、警察官一人、証人1人以上の立ち会いで遺言書を作成することができます(民法第977条)。

※伝染病以外の理由で行政処分が行われた場合(例えば刑務所内にある者)も同様であると解されています。

③在船者の遺言

船舶中にある者は、船長または事務員1人、証人2人以上の立ち会いで遺言書を作成できます(民法第978条)。

④船舶遭難者の遺言

船舶遭難の場合、船舶中で死亡の危険が迫った者は証人2人以上の立ち会いのもと口頭で遺言できます。但し、証人はこれを筆記、署名、印鑑を押し、家庭裁判所の確認を得ないと効力をもちません(民法第979条)

 

〇遺言の効力と取り消し

遺言の効力と取り消しについて、主なものを記します。

1.遺言は、遺言者が死亡した時点から効力を発揮します(民法第985条)。

2.受遺者(遺産を贈られる人)は、遺贈(死後贈られる財産)を放棄することができますが、催告期間内に承認、放棄の意思表示をしないときは承認したとみなされます。また、いったん承認または放棄したものを取り消すことはできません(民法第986~989条)。

3.遺言者は、いつでも、遺言によって、前の遺言の全部または一部を取り消すことができます(民法第1022条)。

4.前の遺言と内容が重なったり、矛盾するなど抵触する遺言があったときは、後の遺言によって前の遺言が取り消されたものとみなされます(民法第1023条)。また、遺言書を自分の意思で破棄したり、遺贈の目的物を破棄、処分したときも、その部分の遺言を取り消したとみなされます(民法第1024条)

 

〇遺留分

例えば、遺言書に配偶者はあるが、子供も親も兄弟もいないとき、法定の相続人は配偶者1人です。この遺言者に愛人がいて、財産を全て愛人に遺贈すると遺言書に書いたとします。この場合、配偶者が異議を唱えなければ、愛人に財産が全て遺贈されますが、配偶者が異議を唱えれば、財産の半分が相続できます。このように一定の相続人が一定の割合で必ず相続できるように定められたものを「遺留分」と言います。

遺留分は、相続人が親(=直系尊属)だけの場合は3分の1、配偶者や子供の場合は2分の1です。兄弟姉妹には遺留分がありません(民法第1028条)。

相続人が配偶者1人だけのとき、遺言がなければ配偶者が100%相続しますが、前の例の場合は、その2分の1しか請求できません。この遺留分を請求することを「遺贈、贈与の減殺の請求」と言い、相続の開始(死亡時)あるいは減殺すべき贈与または遺贈の事実を知ったときから1年以内に行わない場合、または相続の開始から10年経過すると時効になり、権利は消滅します(民法第1042条)。

つまり遺言者は、相続人が兄弟だけの場合には遺言で全財産を自由に遺贈することを決定でき、相続人が親だけの場合には財産の3分の2について自由に決定でき、相続人が配偶者と子供のときは財産の2分の1について自由に決定できます。

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死後の手続き

死亡直後には、医師などに死亡診断書または死体検案書の交付を受け、死亡地、死亡者本人の本籍地、届出人の現在地のいずれかの自治体に死亡届を提出し、火葬・埋葬許可証の交付をうけます。火葬場で火葬済の証印を受け、墓地または納骨堂に遺骨を安置するときには許可証を提出します。

〇市区町村役場での手続き

1. 国民健康保険加入者⇒葬祭費の申請

2. 老人保健医療受給者⇒老人保険医療受給者証の返還

3. 医療費助成受給者⇒医療助成需給証、医療証の返還

4. 国民年金加入者または受給者⇒死亡一時金、遺族基礎年金、未受給年金などの請求手続き

5. 被爆者援護資格認定書所持者⇒認定書返還などの手続き

6. 公営住宅入居者⇒世帯員変更などの手続き

7. 身体障害者手帳または療育手帳の所持者⇒手帳の返還などの手続き

8. 児童手当、特別給付、児童扶養手当、特別児童扶養手当の受給者⇒受給者の変更または喪失などの届け出

9. 世帯主⇒世帯主変更届

10. 印鑑登録者⇒印鑑登録の返還

〇会社勤務の場合

1. 返還するもの:会社の資料、社員証、バッジ、鍵、健康保険証など

2. 提出するもの:死亡届など必要書類

3. 確認して必要な措置をとるもの:死亡退職金、最終給与、財形・社内預金、団体生命保険、企業年金、健康保険の葬祭費・埋葬料、労災保険、その他

○故人名義の財産の名義変更

1.土地・建物等の不動産⇒司法書士に依頼

2.有価証券(株券、債券など)⇒証券会社に依頼

3.自動車⇒陸運局にて手続き

4.その他(電気、ガス、水道、電話、借地、借家)⇒各相手先

○国民健康保険葬祭費

死亡者が国民健康保険に加入していれば、葬祭費の支給を受けることができます。申請時に持参するものは、保険証、印鑑、喪主の銀行口座で、喪主またはそれに準ずる者が申請しますが、申告しなければ受給できず、期限は死亡後2年以内です。

○健康保険埋葬料

死亡者が健康保険の加入者であれば「被保険者埋葬料」が、死亡者が健康保険の加入者の扶養家族であれば「家族埋葬料」が支給されます。

1.加入者本人が死亡した場合には、「被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。

2.扶養家族が死亡した場合には「被扶養者(異動)届」を提出しなければなりません。

3.加入者本人が死亡した場合には、請求者と本人の関係を示す書類を添付します。請求者が内縁関係ならば生計維持を証明できる書類が必要です。

4.加入者本人が死亡した場合の埋葬料の支給額は標準報酬月額の1ヶ月分(最低保障10万円)、被扶養者の場合は一律10万円となっています。

5.加入者本人が死亡し、その扶養家族がいない場合には「埋葬費」の請求となります。その場合には、埋葬に要した費用の領収書(品名、数量、単価および金額が明記してあること)の添付が必要で、故人の標準報酬月額(最低10万)の範囲内で実費が支給されます。

6.事業主の証明を得られない場合または事業主本人が死亡した場合には、火・埋葬許可証、死亡診断書(死体検案書)の写しを添付します。

7.手続きは事業所(勤務先)を管轄する社会保険事務所で行いますが、所属の健康組合に代行してもらうことができます。

8.死亡後2年以内に申告しなければ時効となり、受給できません。

9.死亡原因が業務上や通勤途上の場合はこれを受けられず、労災保険よりの受給(次項参照)となります。

○労災保険葬祭給付

死亡原因が業務上や通勤途中の場合は健康保険からの死亡給付(埋葬料)は受けられません。労災保険より給付します。

業務災害の場合には「葬祭料」の請求書を、通勤災害の場合には「葬祭給付」請求書を所轄の労働基準監督署へ提出します。

1.葬祭料および葬祭給付の保険給付額は給付基礎日額の30日分+28万円または60日分(給付基礎日額とは、災害発生時の直前の過去3ヵ月の総賃金を総日数で割ったもの)です。

2.請求書には死亡診断書または死体検案書を添付します。

3.業務災害または通勤災害で死亡した場合には、遺族は年金または一時金の請求を行うことができます。

①年金

業務災害⇒遺族補償年金支給請求書

通勤災害⇒遺族年金支給請求書

*年間、給付基礎日額の153~245日分が支給されます。

②一時金

業務災害⇒遺族補償一時金支給請求書

通勤災害⇒遺族一時金支給請求書

*給付基礎日額の1000日が支給されます。

4.労災の遺族への年金、一時金の請求書には、以下のものを提出します。

①死亡診断書または死体検案書の写し

②戸籍謄本(または抄本)

③生計維持を証明する書類など

5.葬祭料、葬祭給付の時効は2年、遺族への年金、一時金の時効は5年となっています。

 

【公的年金の概要】

・.公的年金の種類

公的年金とは、全ての国民が加入している「国民年金」、一般サラリーマンを対象とする「厚生年金」、公務員等が加入している「共済年金」のことです。

1.国民年金

「国民年金」を支払うのは20歳から60歳まで、月額13,300円(平成15年2月段階)。65歳以降に受給する老齢基礎年金は、年額804,200円(40年加入している場合)です。

2.厚生年金

「厚生年金」は、国民年金保険料を含めて、会社と本人が半々で標準報酬月額の17.35%(本人負担半分)を負担するものです。扶養されている妻(20歳以上)は届け出ることにより国民年金の保険料を納める必要がありません。老齢基礎年金に加えて老齢基礎年金が受給できます。

3.共済年金

「共済年金」の受給条件は厚生年金とほぼ同じで、老齢厚生年金に相当するのが退職共済年金です。これに加えて、厚生年金基金に相当する職域年金が加算されます。

・国民年金の号

国民年金の「第1号被保険者」とは自営業者等、「第2号被保険者」とはサラリーマン、OLや公務員で厚生年金や共済年金に加入している人、「第3号被保険者」とは民間サラリーマンや公務員に扶養されている妻、を原則として言います。

 

【遺族給付の概要】

・遺族給付の種類

遺族給付には、国民年金部分の遺族基礎年金(あるいは寡婦年金、死亡一時金)と遺族厚生年金(あるいは遺族共済年金)とがあります。

1.①遺族基礎年金、②寡婦年金、③死亡一時金

故人によって生計をたてていたとき、遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金のいずれかを受給できます。

🔴遺族基礎年金が受給できないとき⇒寡婦年金か死亡一時金

🔴寡婦年金が受給できないとき⇒死亡一時金

①遺族基礎年金

[受給資格]

遺族基礎年金を受給できるのは子のいる妻(内縁を含む)か子であり、子とは18歳の誕生日の属する年度末(3月31日)を経過していない子である場合です。

[受給額]

年額804,200円(平成14年度)に子の加算額(2人目まで1人231,400円、3人目からは1人77,100円)がプラスされます。遺族が子だけのときは、1人なら804,200円、2人目は231,400の加算、3人目からは1人77,100円の加算で、これを子の数で割った額が1人分となります。

[支給要件]

被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。但し、死亡した者について保険料納付済期間(免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること。

②寡婦年金

[受給資格]

第一号被保険者(自営業者等)である夫が死亡し、保険料納付期間(免除期間を含む)の合計が25年以上あり、夫が死亡した時に10年以上の婚姻関係のある妻に支給されます。支給期間は妻が60歳になり、妻自身の老齢基礎年金が支給される65歳までの5年間です。

[受給額]

夫の受給できる老齢基礎年金の4分の3の金額

③死亡一時金

[受給資格]

第1号被保険者(自営業者等)が死亡した時点で3年以上保険料を納めており、それまで老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取っていないときに支給されます。  死亡一時金を受け取れるのは、

①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹

のうち順位が先の者、かつ、生計を共にしていた者です。

[受給額]

保険料納付済期間により異なります。

最低で12万円、最高で32万円となります。

2.遺族厚生年金

[受給資格]

厚生年金の被保険者や年金受給者が死亡したとき、遺族に支給されます。但し、死亡した人に生計を維持されていたことが条件で、順位は、①配偶者・子、②父母、 ③孫、④祖父母、となります。また、配偶者が夫の場合、また父母の場合や祖父母の場合は55歳以上であることが条件で、60歳から支給されます。子や孫の場合は18歳の誕生日後の年度末までの支給となります。遺族基礎年金を受給できる資格のある遺族は加算して受給できます。

[受給額]

平均標準報酬月額×1000分の7.125×被保険者期間の月数×4分の3×物価スライド率で計算されます。

[条件]

①厚生年金の被保険者が死亡したとき

②厚生年金の被保険期間中の傷病が原因で退職後に初診日より5年以内に死亡したとき

③1~2級の障害年金を受けている人が死亡したとき(旧制度の障害年金受給者を含む)

④老齢厚生年金の受給者や受給資格者が死亡したとき(旧制度の老齢年金・通算老齢年金受給者を含む)

 

・厚生年金の寡婦加算

厚生年金の被保険者期間が20年以上(40歳以後の加入期間が15年以上でもよい)ある老齢厚生年金受給権者、1~2級の障害厚生年金受給権者、在職中の夫が死亡したとき、子(18歳未満)のない35歳以上の妻は、40歳から65歳になるまで年額603,200円の中高齢加算が遺族厚生年金にプラスして支給されます。65歳以後は妻の生年月日により減額された経過的寡婦加算となります。(但し、遺族基礎年金を受給中は支給停止)

・遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給の選択

妻の厚生年金被保険者期間により、次の3つの選択肢があります。

①専業主婦期間が長い場合 ⇒ 遺族厚生年金+妻の老齢基礎年金

②高収入の女性の場合 ⇒ 妻の老齢厚生年金+妻の老齢基礎年金

③一般的な共働きの女性の場合 ⇒ 夫の遺族厚生年金の3分の2+妻の老齢厚生年金の2分の1+妻の老齢基礎年金

 

・遺族共済年金

公務員などが加盟している共済組合の組合員や退職共済年金の受給者が亡くなった場合には、遺族厚生年金と同様に遺族共済年金が支給されます。18歳未満の子のない妻が受けることができる中高齢加算も同様にあります。支給額は、標準報酬月額に比例した本人の年金額の4分の3が原則となっています。

 

・遺族給付と生計維持条件

遺族基礎年金、遺族厚生年金などの遺族給付は「死亡当時、その人により生計が維持されていたこと」が条件です。

・未支給年金の請求年金

受給者が死亡したとき、未受給の年金が残っていることがあります。死亡後できるだけ早く、未支給年金・保険給付請求書および死亡届を提出します。このとき、年金証書、死亡診断書(死体検案書)、戸籍謄本、住民票、生計維持証明書を添付します。請求者の順位は、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、となります。

 

〇銀行預金に関する手続き

通常の払戻伝票に記入して手続きを行います。必要書類は以下の通りです。

1.除籍謄本 除籍謄本で相続人が特定できない場合には原戸籍など

2.印鑑証明 相続人全員のもの

3.相続の証明書類

🔴単純相続用(法定相続分による相続)*最も一般的な相続です。

  • 分割相続用(遺産分割協議による相続)*遺産分割協議書が必要です。
  • 遺言相続用(遺言書による相続)*遺言書が必要です。

【注】債券用別途

4.通帳、証券など被相続人に関するもの

5.実印 相続人代表者のもの

〇郵便局での手続き

貯金、保険の解約は窓口に問い合わせます。

1.相続人を証明する書類

死亡者、相続人全員の記載がある謄本(抄本)

2.同意書

相続する権利のある人全員が代表者に委任する同意書

3.手続きする人(=代表者)の証明書

運転免許証、保険証など

〇死亡保険金の請求に必要な書類

保険会社に問い合わせますが、必要書類には次のものがあります。

1.保険証券(または紛失届)

2.死亡診断書(または死体検案書)

3.被保険者の戸籍謄本(抄本)または住民票

4.請求者の印鑑証明書(相続人全員分)

※指定受取人の請求で保険金300万円以下の場合等は不要です。

5.請求者の戸籍謄本(抄本)

6.保険金請求書

7.代表者選定通知書(但し、指定受取人が2人以上の場合)

8.相続人代表念書

9.受傷事情書(但し、不慮の事故で死亡した場合)

10.交通故証明書(但し、交通事故で死亡した場合)

11.契約内容変更請求書(但し、必要な場合)

12.保険証券再発行請求書(但し、必要な場合)

保険金の受け取り方法には、①利息をつけて据え置く方法、②年金で受け取る方法、③一時金で受け取る方法、の3通りがあります。

〇所得税確定申告、医療費控除申告

死亡者の1月1日から死亡日までの所得税の確定申告は、死亡日(相続の開始を知った日)の翌日から4ヶ月以内に行う必要があります。死亡者が前年の確定申告をしていないときは前年度の確定申告も4ヶ月以内に行わなくてはなりません。

また、年間の医療費が10万円以上の場合には、10万円を超える部分(200万円を限度とする)について医療費控除が適用され、確定申告から控除できます。死亡後の支払い分は相続税申告時に控除できます。

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現在、主として利用されているのは「和型」と言われる三層構造の墓石で、江戸時代に生まれた形式です。最近ではこれに「洋型」と言われる形態が加わっており、部分的ですがオリジナル・デザインの墓石もあります。昔の形態をとどめる五輪塔も一部に見られます。

墓埋法によると、遺体または遺骨を納める場所は「墳墓」と「納骨堂」の2つに分類されます。

➊墳墓

「墳墓」とは個々のお墓のことです。墓埋法に、「墳墓」とは「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設」とあり、ここでいう「埋葬」とは「死体を土中に葬ること」つまり土葬のことを言いますから、土葬墓、火葬墓を総称して「墳墓」と規定されています。日本では現在火葬率が99.4%(2000年)ですが、土葬も法律的には認められています。

❷墓地

墳墓を設ける区域が「墓地」で、墓埋法では「墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域」と規定されています。(同法の第4条「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」)そのため、墳墓すなわちお墓は勝手に作ることは許されないと決められているのです。また、墓地経営は、事実上、自治体による公営化、財団法人、宗教法人のいずれかでないと認められません。

また、法律的に土葬が認められているとしても、現在では、一部の地域や信仰上の問題など特別な事情がある場合を除いて、土葬は現実的には困難になっています。

❷納骨堂

「納骨堂」とは「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」(墓埋法第2条第6項)です。したがって、寺院、教会といった宗教施設でも、納骨堂の許可を得ていない施設では他人の遺骨を長期的に預かることが出来ません。但し、「他人の委託をうけて」とあるので自分の家族の遺骨を自宅に保管することは違法ではないと解釈されます。

 

○埋葬、改葬

➊埋葬、納骨には許可証が必要

お墓に遺体を埋葬するとき、遺骨を埋蔵するとき、あるいは、納骨堂に遺骨を収蔵する

(=預ける)ときには、死亡届を出した自治体で交付される火葬・埋葬許可証が必要です。

特に納骨の場合には、許可証に火葬済との証印を受けたものが必要で、この許可証を墓地または納骨堂の管理者に提出します。

❷改葬にも許可証が必要

「改葬」とは、いったん納めたお墓または納骨堂から遺骨を他のお墓または納骨堂に移動させることです。この際、遺骨が納められている地の市区町村から「改葬許可証」を受け、移動先の墓地または納骨堂の管理者に提出します。

❸分骨する場合

分骨する場合には、火葬場の管理者の発行する火葬証明書または主な遺骨の収められている墓地または納骨堂の管理者の発行する埋蔵(収蔵)証明書を得て、分骨を収める墓地または納骨堂の管理者へ提出します。

 

○墓地の分類

➊村落共有墓地

村落共有墓地は古くから村落が共有して保持していた墓地を追認したもので、新しく認められることは事実上ありません。

❷寺院境内墓地

寺院境内墓地は、最初に寺院の檀信徒になるという契約があり、檀信徒であるから墓地の使用が認められるという関係にありますので、檀信徒として寺の維持その他の義務を負います。

❸公営墓地

公営墓地は、自治体の条例その他で使用条件が定められ、使用権を取得するものです。

❹民営墓地

民営墓地は、管理者と使用者が対等な契約に基づいて使用権を取得するもので、財団法人や宗教法人などの公益法人が経営する墓地です。

 

○使用権

一般にお墓を取得することを「お墓を買う」と言いますが、厳密にいえば「墓地を使用する権利を取得する」ことです。墓地の土地は墓地の経営主体の所有物件で、利用者にその使用権があり、墓石は利用者の所有物件、となっています。お墓の建立にあたっては、使用権入手費用(一般に「永代使用料」という)、墓石建設費が必要で、このほか継続的に管理料が必要です。使用権の名称が「永代」となっていても、管理料の支払いが一定期間途絶え、承継する縁故者が不在のときは、使用権が消滅し、墓石は撤去され、遺骨などは無縁塔に合祀されます。

改葬するには、一般には、利用者が自ら墓石を処分し、更地にして墓地使用権を返還し、新たな移動先の墓地使用権を取得します。(使用権入手費用は原則として返還されません。)

 

〇お墓の承継

お墓の使用権者が死亡したとき、「お墓を継ぐ」必要がありますが、これを「墓の承継」と言います。お墓は民法に規定された「祭祀財産」という性格をもっており、その継承者は、本人が指定するか、そうでない場合には「慣習により」定め、最終的には家庭裁判所が決します。

子供がいないためお墓の継承者がいないというケースもでてきています。民営墓地では無縁化を避けるため、配偶者や直系のこどもの範囲であれば申請者に承継を認め、後から問題となったら裁判所に判断を委ねる方式をとるケースが増えています。

こうした社会的変化に対応して、永代供養墓(公営の場合「合葬墓」と言う)も出てきました。契約した一定期間は承継者がいなくても墓が存続し、その期間がすぎて承継者がいなければ定められた合祀墓(集合墓)に合祀するという方式が一般的です。また、最初から合祀する形態の永代供養墓もあります。

〇埋骨方法

お墓で、遺骨を納める部分を「カロート」と称しますが、お墓への遺骨の埋葬は、カロートに骨壺単位で納める方式と骨壺から遺骨を空ける方式とがあります。

〇散骨

近年マスコミの話題をなり、関心を深めているのが「散骨」です。遺骨を墓地または納骨堂に納めるのではなく、遺骨を粉末状にして、これを海や山などに撒く方式です。

法律的には、①原型をとどめないよう粉砕する、②他人が嫌がらない場所に撒く、③その他問題が生じないこと、というのが常識的解釈です。なお、散骨にみられるのは自然回帰志向で、墓地でありながら墓石や骨壺などの人工物を一切用いないで遺骨を埋め、花木を植える「樹木葬」なども現れ、注目を浴びています。

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仏壇・仏具

「仏壇」とは本来、寺院内に仏像(如来、菩薩など)を安置して礼拝をし、供物を捧げたりする、周囲より一段高くなった場所のことです。

中世まで仏壇、その後に「須弥壇」とよばれるようになります。仏教の宇宙観では、巨大な山「須弥山」が宇宙の中心をなし、そこに帝釈天が所在するとされていますが、須弥壇はこの須弥山をかたどったものと言われます。その代わりに、各家にあって本尊や位牌を安置する厨子または宮殿型のものを仏壇というようになりました。鎌倉時代以降、禅宗が広まると共に位牌が流行し、常設の位牌棚となり、位牌の安置所として仏壇が発生したと思われます。各家庭に仏壇が設けられるようになったのは江戸時代中期の寺檀制度確立以降のことです。

仏壇は家の祖先を祀る場であり、家の精神的結合の場であると言われ、単に一般的な先祖供養のためのものではありません。三十三回忌や五十回忌で弔い上げして先祖代々の位牌に合祀するまでは、死者個々の供養の場であり、さらに真宗教団では「お内仏」と言われるように勤行(ごんぎょう)の場でもあります。近年、悲しみにある遺族が仏壇をとおして死者と対話することは、その悲しみを癒していくのに有効であるとして、仏壇をグリーフワークの場として見直す動きもあります。キリスト教のカトリックにおいても仏壇の機能に着目して、「家庭祭壇」が作られています。

 

○仏壇の材料による分類

材料は木ですが、➊塗仏壇(金箔押仏壇、俗に金仏壇)と❷唐木仏壇に分けられます。また新しい仏壇として、合板、プラスティック、アルミなど新しい素材の仏壇(新仏壇)も登場しています。

➊塗仏壇

杉、松、檜などの木に漆塗り箔押し仕上げをし、飾り金具、蒔絵を施した仏壇で、江戸時代以降古くから用いられました。現在では主として浄土真宗で用いられています。京都、大阪、名古屋が産地として有名です。

❷唐木仏壇

歴史的には塗仏壇より新しく、江戸中期以降に大阪を中心に作られ、特に関東大震災後の仏壇需要をきっかけに低価格のものとして量産されました。紫檀、黒檀、檜、桜、松などの無垢材、練り材を用います。造作もシンプルで徳島、静岡、会津、東京、大阪が産地として有名です。

 

○宗派による仏壇の分類

明治時代以降、仏教の宗派が確立すると、本山様式が仏壇に取り入れられるようになり、さまざまな仏壇形式が発生しました。

➊八宗用

仏壇内の本尊、仏具は違いますが、仏壇の形が八宗(天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗)共通のものです。

❷お西用

浄土真宗本願寺派(お西)用の仏壇は、宮殿の屋根は八宗用と同じく千鳥・唐破風ですが、柱は金箔です。

❸お東用

真宗大谷派(お東)用は、宮殿は東本願寺阿弥陀堂を模し、屋根が二重唐破風で、柱は黒塗りです。

❹日蓮正宗

須弥壇の上に厨子を置き、厨子に開閉できる扉がついています。戦後に考案されたものです。

 

○各宗派の祀り方の特徴

➊天台宗

本尊は特別の指定はありませんが、菩提寺の本尊か阿弥陀如来を安置します。脇掛を祀る場合には向かって右に天台大師、左に伝教大姉(最澄)、中段の腋掛の下に位牌を、遠い祖先が向って右、近い祖先が左になるよう順に安置します。

❷真言宗

高野山真言宗では、本尊に大日如来、脇掛は右に弘法大師の絵像、左に不動明王の絵像を、豊山派では本尊に金剛界大日如来、右に光明曼陀羅を、智山派では本尊に金剛界大日如来、右に弘法大師、左に興教大師の絵像を安置します。

❸浄土宗

本尊は中央に阿弥陀如来(立像、座像、画像「南無阿弥陀仏」の名号)、右側に観音菩薩、左側に勢至菩薩、また、脇掛は右に善導大師、左に和順大師(法然)とします。2段目に位牌を、向かって右に遠い祖先、左に近い祖先の順に安置します。宮殿の前に錦や金襴の戸帳を垂らし、前机などにかける打敷は四角形とします。

❹浄土真宗

本尊は阿弥陀如来(絵像、木像、六字名号「南無阿弥陀仏」)、脇掛は右に十字名号    「帰命尽十方無碍光如来」または親鸞聖人の絵像、左に九字名号「南無不可思議光如来」または蓮如上人絵像とします。但し、真宗仏光寺派は右に九字名号、左に十字名号と逆になります。位牌は安置せず、仏壇両側に法名軸を掛けます。

西(本願寺派)と東(大谷派)では一部仏具や位置に違いがあり、鶴亀の燭台は東(大谷派)で使用されます。

➎臨済宗

一般に本尊は釈迦牟尼仏、脇掛は右に達磨大師の絵像、左に観世音菩薩。中段中央に過去帳、その左右に位牌を安置します。

❻曹洞宗

本尊は釈迦牟尼仏ですが、一般に三尊仏(中央に釈迦牟尼仏、右に道元禅師、左に螢山禅師)の絵像とします。本尊の両脇に位牌を、遠い祖先を右に、近い祖先を左に順に安置し、過去帳は下段中央に置きます。

❼日蓮宗

本尊は大曼陀羅(または三宝尊)、その前に日蓮聖人像、脇掛は本尊が三宝尊の場合、右に大黒天、左に鬼子母神とします。日蓮聖人像の両脇に位牌を向かって右に遠い先祖、左に近い祖先の順に安置し、過去帳は下段中央に置きます。

 

○仏具

主な仏具について説明します。

➊三具足と五具足

基本的な仏具で、香炉、燭台、花立て(花瓶)からなります。三具足では、中央に香炉、向かって右に燭台、左に花立てを配します。五具足は、中央に香炉、その両側に燭台、さらにその外側に花立てを配します。燭台一対、花立て一対、香炉で五具足です。一般には三具足を、法事など正式なときには五具足を用います。

❷香炉

線香または抹香を焚くための道具で、耳つきの場合は耳が両側になるように、三つ脚の場合は脚の一本が手前にくるように置きます。

❸線香差し

線香を入れておくための容器を言います。

❹花立て

仏壇に供える花を生ける花瓶で、「華瓶」とも言います。

➎燭台

灯明、つまりロウソクを立てる道具です。

❻打敷(うちしき)

仏壇の前卓を飾る錦や金襴の敷物で、盆や法事など特別なときに用います。一般に長方形ですが、浄土真宗では三角形となります。

❼仏飯器(ぶっぱんき)

飯を盛る器で「仏器」とも言います。

❽茶湯器(ちゃとうき)

お茶を供えるための道具です。

❾高坏(たかつき)

菓子、果物などを供えるための器です。菓子、果物などを供えるときは半紙を敷いて供えます。

❿霊供膳(りょうくぜん/れいくぜん)

仏壇に供える小型の本膳。供えるときは箸が仏前にむくようにし、精進料理にします。浄土真宗にはありません。

⓫燈籠(とうろう)

仏壇の中を明るく照らす道具。「輪燈」や「吊燈籠」など吊り下げる形のものもあります。

⓬鈴(りん)

勤行のときに打つもので、打ち方は各宗派でそれぞれ定められています。鈴を打つ棒は鈴棒、鈴唄、鈴撥などと言います。

⓭香盒(こうごう)

抹香を入れる器で、香炉とセットにして使用されます。

⓮供笥(くげ)

餅、菓子などの供物を載せる道具。餅、菓子などを盛る道具にはこの他「三方」「段盛」などがあります。

 

○数珠

数珠は、珠を使って念仏を唱える回数を数えることから発生しました。珠の数は108個となっており、そこから(2分の1の)54個、(4分の1の)27個、(6分の1の)18個といったものも作られました。「数珠」「誦数」「念珠」とも言います。宗派によりその形は異なりますが、「八宗用」と言われるものもあり、これは真言宗用が基本になっています。

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布施

仏教では、布施は菩薩(悟りを求めて修行する人)が行うべき6つの実践徳目の1つとされており、施す人も、施される人も、施す物品も本来的に空であり、執着心を離れてなされるべきものとされています。

布施はさまざまに分類されますが、一般的には次の3つに分けられます。

➊財施(ざいせ)

出家修行者、仏教教団、貧困者などに財物、衣食などの物品を与えること。仏教の教えへの感謝を表し、施すことです。

❷法施(ほっせ)

正しい仏法の教えを説き、精神的な施しを行うこと。僧侶の務めとされています。

❸無畏施(むいせ)

施無畏とも言い、不安やおそれを抱いている人に対し安心の施しをすること、困った人に対し親切を施すこと、などです。

 

葬儀において、僧侶は枕経、通夜、葬儀式などの法要を営むことによって法施を施し、遺族はこれに対して感謝して財施で応えるという関係にあります。僧侶が法要を営むことはビジネスではなく、あくまで法施です。遺族も葬儀での「お布施」は法要執行への対価として支払うのではなく、あくまで財施として行うのだ、というのが本来の考え方です。したがって、「お経料」「戒名料」という表現は、対価としての料金という考えによるものですからふさわしくないとされています。

お布施は、遺族の「志」によるものです。しかし、寺院の維持経費もあり、また、他寺の僧侶に応援を頼めば尊師となった僧侶は出座のお礼をしなければなりませんから、それらのことを考慮する必要があります。遺族は自らの経済的事情を考えつつ、相応の金額を包むことは必要になりますが、わからない場合には率直に寺院に質問したり、相談することをお勧めします。

お布施に関して、僧侶と遺族の間に葬祭業者が介入することは「布施」の性格から言っても望ましいことではありません。遺族からの相談を全て拒絶することはありませんが、金額を指定するのは行き過ぎですので注意が必要です。

 

他の宗教でも、その考え方は基本的に仏教と同じです。神道においては神職などへのお礼は「御祭祀料」などと記します。キリスト教の場合には、一般的には協会に対する「献金(記念献金)」と牧師あるいは神父への「謝礼」からなります。オルガニストなどへの「謝礼」も忘れないようにします。

基本の金額が定まっているケースも多く見られます。しかし、経済的事情が許さないときは率直に相談すれば心ある宗教者からは理解を得られるでしょうし、経済的余裕のあるときは基本金額にこだわらず感謝の気持ちを相応に表現すべきでしょう。

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戒名(法名・法号)

〇戒名とは

「戒名」とは、仏教教団に入り戒律を守ることを誓った者に与えられる名前のことです。本来は戒を授けられ出家した僧にのみ与えられるものでしたが、出家しない在家の檀信徒も授戒会に加わって戒を受けることにより、仏法に帰依したものとして戒名を与えられるようになりました。本来戒名は、生前に入信して与えられるべきものですが、死者の場合でも生きている者として扱い、しばしば通夜に授戒が行われます。これは「没後作僧」と言い、亡くなった人を仏の弟子にして浄土に送るということを表します。授戒は引導と共に葬儀儀礼の中心をなすものとして位置づけられています。近年、「戒名料」が問題とされたこともあり、多くの教団では、できるだけ生前に授戒会などに出て戒名を得ておくことを勧めています。

浄土真宗は在家道で教養にも戒律や授戒はなく、聞法者という意味をこめて「法名」と言います。仏法に帰依した者が授かる名前で、「帰敬式」(「おかみぞり」ともいう)を受けていただくものとされています。

日蓮宗は「法華経に帰依することが持戒にまさる」ということで葬儀式に授戒という作法はありません。「信仰に入った証」ということで「法号」が与えられます。本来は生前にあたえられるものですが、亡くなった後に授与されることが多いようです。

戒名(法名、法号)は、身分制の時代を背景に発達しましたので、戒名が身分を表すことも多かったのですが、近年は寺院、社会への貢献度、信仰の深浅、人徳などを住職が判断してつけるものとされています。しかし、戦後、特に高度経済成長期以降、寄進する金額の多寡によって位の高い戒名が買えるという風潮が出て、「戒名料」なる言葉も一般化するなど批判の対象となる現象も起きています。

 

〇戒名(法名)の構成

戒名は本来2字で、中世までは貴人といえども2字であったといわれます。今では本来の戒名である法号の上に道号(または宗派戒名)、さらにその上に院号がつけられ、法号の下に位号がつくという構成になっています。

○○院 △△ □□ 居士(大姉)

院号  道号  法号   居号

➊院号

最上級の尊称と言われるものに院号(〇〇院)、院殿号(〇〇院殿)があります。かつては一寺を建立するほど貢献した人に与えられる尊称で、皇室や摂関家に対して〇〇院が、またこれと区別するため武家に院殿が与えられました。特に本家の主人のみにつけたとされます。院号より院殿号を上位とする慣習は、大名家に院殿をつけるようになった江戸期に生まれたとされます。

❷道号

道号は元々、仏道に励み、これを究めた者への出世の称号で、住職などに与えられたものといわれます。ここの位置に宗派名が入ることがあります。

❸法号

本来の戒名(法名、法号)です。

❹位号

位階や性別を表すものです。成人(15歳以上)の場合、一般に伸心の厚い者を信士・信女に、より清浄な者を清信士・清信女に、仏門に入り剃髪染衣した者を禅定門・禅定尼に、四徳を供えた篤信の信者を居士・大姉に、より上位を大居士・清大姉に、とします。

子どもの場合、死産児に水子、乳飲み子に嬰児(嬰子)・嬰女、就学前の子ども(特に2~3歳)に孩児(孩子)・孩女、15歳未満の子供に童子・童女、善童女・善童女とすることが一般的なようです。就学前の子どもは乳幼児を含め幼児・幼女とすることもあります。子どもの場合には院号、道号はつけないのが一般的です。

浄土真宗では、明治時代以降、宗門護持、念仏相続に尽力した人への賞典として広く院号が贈られています。また、道号、位号はなく、男性の場合は「釈(釋)□□」、女性の場合は「釈(釋)尼□□」とされていましたが、近年は性差なく統一される傾向にあります。「釈」とは釈尊の弟子であることを表しているとされます。

日蓮宗では、一般の場合でも院号があたえられますが、位号は信士・信女が多く、居士、大姉、大居士、清大姉は特別に貢献度の高い人にのみあたえられます。

 

〇宗派による戒名(法名)の違い

宗派による戒名のつけ方には一般的な特徴として次のことがあります。

➊真言宗

位牌に戒名を書くとき、戒名の上に梵字でアの字を、子どもの場合は梵字でカの字を書きます。「ア」は大日如来の悟りに帰入すること、「カ」は地蔵菩薩の導きに従うことを示します。

❷浄土宗

五重相伝(教えを5つの段階に分けて伝える法会)を受けた者には院号と道号の間に誉号をつけ、〇〇院△誉△△□□居士(大姉)のようになります。

但し西山浄土宗の場合は、授戒を受けた者には空号が、さらに五重相伝を受けた者に道号がつき、〇〇院△空△△□□居士(大姉)のようになります。

❸浄土真宗

法名の前に男性は「釈(釋)」、女性は「釈(釋)尼」がつきます。近年、女性に「尼」をつけるのは差別だとして、「釈尼」をやめ全て「釈」とする風潮も出ています。

[男]〇〇院釈□□、[女]〇〇院釈(尼)□□

❹時宗

男性には阿号、女性には弌号が使われます。

➎臨済宗

院号に次ぐものとして庵号、斎号、軒号が使われることがあります。また、位号に禅定門、禅定尼、大禅定門、大禅定尼がつくのは臨済宗に多いと言われます。

❻曹洞宗

熟字でまとめられている場合が多いようです。特に道号と法号の4字は経典、祖録、漢詩を参照し、対句で熟字としています。

❼日蓮宗

法号に「日」の字が入り、多くの場合道号に男性は「法」、女性は「妙」がつきます。

[男]〇〇院法△日□信士、[女]〇〇院妙△日□信女

〇頭の文字、置字

位牌に戒名を書く場合、その上下に文字を足すことがあります。

戒名の頭の文字としては、「新帰元」「新円寂」「帰真」などとつけることがあります。これは新しく仏になったことを意味し、葬儀の際の白木の位牌にのみつけます。

また、戒名の下に置字として「霊位」「位」とかくことがありますが、浄土宗、浄土真宗などでは用いません。

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葬具

今はほとんど見られなくなった葬列ですが、葬具には葬列で使われたものも多く、これが変形して現在の葬儀で用いられていることがあります。その1つが宮型霊柩車です。この屋根の先頭に龍の頭がついているデザインのものもありますが、これは葬列で使われた「龍頭」をならったものと思われます。

➊松明(タイマツ)

葬列の先頭に立ったのが松明で、サキダイマツ(先松明)と言われます。照明の役割の他に、墓火を焚くための大切なものだとの説もあります。また、火をつけない松明もありますが、これは箒の変形で、葬列の道を清める役割もあったと推測されています。

❷箒(ホウキ)

箒は出棺した後の式場を掃除し清めるためにも用いますが、葬列にも加わりました。塵やゴミを掃き清めることから、目に見えない悪霊を祓うための呪具として用いられたものと推測されています。

❸四本幡(シホンハタ)

4本の幡(旗)をまとめて並べる場合と、柩の前に2本、後ろに2本と分けて並べる場合などがあります。幡には梵字(古代インドで使用された文字)を書いたり、「諸行無常」「是生滅法」などの偈文(仏教の教えを簡潔に述べた詩)を書いたりしました。柩の四方や墓の四方に立てたとも言われ、墓を結界する(魔物が入ってこないように境界を区切る)と共に死者の滅罪に効果があると信じられたものです。

❹天蓋(テンガイ)

寺院には、僧侶の座る席の上に立派な天蓋がありますが、葬列では布製や紙製がほとんどでした。天蓋は柩のうえにかざし、死者の滅罪を願い、極楽往生することを願ったものと言われています。

❺龍頭(タツガシラ)

竹竿の先に龍の頭をかたどったものをつけたものです。龍の口の下に天蓋を下げたものや魂を入れる紙袋を下げたようなものもありました。死者の霊が荒らぶる魂であることを示したという解釈と、死者の霊が龍のように昇天することを願ったとする解釈があります。

❻六道(ロクドウ)

篠竹に小ロウソクを6本立てたものを言い、元は葬列の先頭の案内の灯明だったと思われます。死者は生前の行いによって六道のいずれかに行くとされ、たとえいずれに行っても六地蔵に助けてもらおうという地蔵信仰が六道ロウソクになったと思われます。今、祭壇の上部両側に6本灯明(六灯)が飾られるのは六道の名残です。

 

 

位牌は、仏教葬儀で死者の霊を祀るために使われる木製の牌で、「霊牌」とも言います。元来、儒葬で使われた「木主」や民俗信仰の「霊代」から生まれたものと言われ、死者の霊が宿る依代でした。

表には戒名(法名、法号)が書かれ、裏には俗名(生前名、本名)と死亡時年齢(享年、通常は数えで)、死亡年月日などが書かれます。

一般に四十九日までは白木の位牌を用いますが、これを「内位牌」「仮位牌」とも言います。この期間は仏壇ではなく中陰壇に置かれるのが一般的です。また、内位牌とは別に白木の「野位牌」が作られ、埋葬地に置かれることもあります。忌明と共に内位牌は寺に納め、野位牌は墓に埋めたり、焼いたりします。忌明以降は塗位牌を仏壇に納めます。

この他に集合型の「繰り出し位牌」があります。これは年忌法要に便利なように、故人の戒名などを記した板を祥月命日の順に並べて一基の位牌とするものです。(故人一人に一基の位牌を「札位牌」という)

札位牌や繰り出し位牌の板は、三十三回忌あるいは五十回忌をもって弔い上げとし、その後は先祖代々の位牌に合祀されるのが一般的です。

生前に戒名(法名、法号)をもらい、位牌や墓石に朱書きしておくことを「逆修」あるいは「預修」と言い、この位牌を「逆修牌」あるいは「寿牌」と言います。(故人の位牌は「順修牌」という)

浄土真宗の場合には、死者を礼拝の対象にしないため、原則として位牌を用いませんが、地方により葬儀のときに限って白木の位牌を用いることがあります。その場合でも本尊と並べたり、前に置いてはいけないとされています。浄土真宗で位牌の代わりに用いられるのが「法名軸」という掛け軸形式のもので、そこに法名を記して仏壇の側面にかけます。法名軸には、順次法名を記載していく合幅のものや、過去帳にして仏壇の中段横に置くものがあります。

 

本尊は葬具ではありません。本来は僧侶が持参するか、寺から都度借用するか、あるいは仏壇の本尊を用います。現在では、葬祭業者が用意しておくことも増えています。

➊三具足(みつぐそく)

「具足」とは道具の意味です。法要などで仏前を荘厳する基本的な道具です。香炉を中央に、向かって右に燭台、左に花立て(花瓶)を配します。寺院などでは法要では五具足を正式とします。このときは香炉を中央に、その両側に燭台を対に、両外側に花立てを対に配します。但し、葬儀は臨時の祭りという性格から三具足が一般に用いられます。

❷四華花(しかばな)

白紙または銀紙に刻み目を入れ、棒に螺旋状に巻き4本一組にして作る造花のことです。通常は祭壇最上段の両脇に配します。釈尊が亡くなったとき、沙羅双樹林が悲しみ白変し遺体を覆ったという故事にちなみます。シカバナ、シカと呼ばれ、四花、四華、死花、紙花とも書きます。

❸樒(しきみ)

仏花と言われ、もくれん科の常緑小高木で榊と同じく香花です。末期の水で樒の葉が用いられ、枕飾りでは1本樒が用いられます。戦前は神葬祭の榊同様に祭壇の両サイドに供えられました。中部、関西、四国などでは花環の代わりに供花として樒を挿して用います。

❹六灯(ろくちょう)

祭壇に置かれる6個の灯のこと。六道にちなみます。かつて夜に葬列のあった時代に葬列の先頭に立ち、辻々を照らした6個の明かりをロクドウと称した名残です。

❺春日燈籠(かすがとうろう)

昭和40年代まではよく用いられました。祭壇上部に四華花の内側に置かれました(中央が位牌輿)。奈良の春日神社の燈籠を模したものです。

❻蓮華(れんげ)

明治中期に誕生したと思われ、元は仏堂の金の蓮華を模したものです。蓮の花をデザインした紙型に金色に彩色したものを金蓮、銀色に彩色ものを銀蓮、その他、さまざまな色に彩色して用いられました。

❼鈴(りん)、鉦(かね)

仏具の1つ。読経時に用いる音を鳴らすものです。

❽前机(まえづくえ)

仏前に置かれる机のこと。前卓とも言います。前机が発達して祭壇になったとも言われます。枕飾りで用いるのは枕机と言います。

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祭壇

葬儀で用いる祭壇は「葬儀檀」とも言います。かつて葬儀は、自宅での法要と、葬列を組んで葬場あるいは菩提寺に行っての法要という「二段構え」でした。この2つの法要が合体し、特に葬場あるいは寺院での葬儀の飾りが現在の祭壇の模型の原型になったとおもわれます。

参列があった当時、葬場や寺院の飾りは、柩の前に野机(野卓)と言われる小机を置き、白布で覆い、その上に三具足、位牌、供物を載せ、両脇に供花や供物、後ろには参列で用いた幡などの野道具を並べるといったものでした。寺院では内陣に柩を置くことはなく、外陣に柩を置いて葬儀を行いました。その小机が大きく、仏壇や盆棚のように段々になり、2段、3段と増えていきます。仏壇や寺院の荘厳(お飾り)をならってその檀を須弥壇と称する考えも出てきました。

柩は白木の輿に載せた形で安置されましたが、その輿が飾り物となり、棺前といわれるものになりました。棺前の後ろにおかれていた柩は、移動に便利なようにと祭壇の前部におかれ、棺前は完全な飾りになり、平等院をかたどるなどさまざまな飾輿が生まれるところとなりました。

戦後、葬儀の中心が告別式になると、立派な祭壇を飾ることが故人を弔うことだという考え方が生まれ、祭壇の大型化が図られるようなりました。祭壇メーカーがさまざまな祭壇を開発、商品化したことも今日の祭壇隆盛の時代を迎えた一因です。寺院側でも、宗派に合わせた荘厳を要請するようになりました。

現在、祭壇は個人を顕彰するためのものと理解されるようになり、故人の愛用品を祭壇に飾ることや、故人の人柄に合わせた生花祭壇なども流行するところとなっています。

 

しかしながら、宗教儀礼として葬儀を営むのであれば、仏あるいは神の導きによって死者をあの世に送ることがその基本になります。仏教葬儀においては、仏を供養することによって得られた功徳を死者に振り向けるという間接的な方法をとりますし、キリスト教式の場合、礼拝が中心ですがその対象は神です。したがって、仏教葬儀では中心に本尊を置き、また、キリスト教式などでは死者が礼拝の対象とならないようにすべきです。

つまり宗教儀礼としての葬儀の祭壇では、死者を礼拝の対象とするような荘厳は適当ではありません。宗教礼儀として行う以上、執り行う宗教、宗派の考えを尊重し、道具類もできるだけそれに合わせることが必要です。

一方、告別式では、死者と遺族・会葬者との別れが中心になります。ここでは、遺族・会葬者の死者への想いを何らかの形で祭壇にいかしたいと思うのも当然の感情です。したがって、祭壇を作るにあたっては、宗教者と遺族とがよく相談する必要があります。宗教儀礼の場であると同時に告別の場であるという二面性を常に意識しておかなければなりません。いわゆる無宗教葬においては、祭壇は、死者と死者に寄せる遺族・会葬者の想いによって構成されると考えればよいため、故人中心の祭壇作りを心がけるとよいでしょう。

 

祭壇のサイズはいまではさまざまのものが現れています。

標準となっているのは、間口が6尺、奥行が5尺、高さが3段で3尺、5段で4尺5寸です。小さな家用に間口が3尺あるいは4尺というものから、9尺、12尺といった大きなものまであります。また、奥行をあまりとらない祭壇も開発されています。

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棺は大きく分けて寝棺(伸展葬)と座棺(屈葬)があります。

縄文時代に幼児の遺体に使用された例がある甕形(かめがた)の土器による棺は、弥生時代には大人にも使用されるようになります。古墳時代になると、木板や石板を組み合わせた棺が作られるようになり、家の形を模した陶棺や、粘土棺なども現れます。さらに、漆を使った乾漆棺なども使用されました。これらは身分の高い人のもので、寝棺が多かったようです。江戸時代ではほとんどが座棺で、多くは木製の桶型だったようです。

明治時代に入り、富裕階層が木製の寝棺を使用するようになり、どの棺を使用するかによって貧富がわかるようになります。但し、地域によっては座棺用の火葬炉しかないところもあり、そうした地域では昭和40年代頃まで座棺が使われていたようです。

戦後、火葬が一般化し、火葬炉が近代化するのに歩調を合わせるようにして寝棺が主流となり現在では座棺は姿を消しました。

 

現在、「ヒツギ」には棺と柩の2通りの表記があります。これをあえて厳密に区別すると、物としてのヒツギが棺で、遺体が納められた状態の棺を柩と書き表します。古く座棺として使用されたのは桶でした。ハヤオケ(早桶、死ぬと急いで作られることからこう呼ばれた)やフネ(舟・船)も棺を指す語として使われました。また、昔は「龕」(がん)という表現も用いました。「龕」は棺のことを表すだけでなく、棺を納める輿を意味することもあります。英語では棺はコフィンcoffinです。現代の米国で使用されている棺はキャスケットcasketと言われます。キャスケットは「宝石の小箱」「貴重品入れ」から転じた言葉で土葬用の装飾された立派な棺のことを表します。木棺だけでなく大理石製など多様なキャスケットがあります。

 

〇棺の種類

棺には大きく分けて、①天然木棺、②フラッシュ棺、③布張棺、の3種類があります。

➊天然木棺

マキ、モミ、ヒノキなどの天然木を用いた、最高級とされる棺です。中でもヒノキの天然木棺が最高級と言われます。

❷フラッシュ棺

「フラッシュ」は「偽物の」という意味で、外からは天然木に見えても、中が空洞になった木棺を言います。軽量なために現在はこれが主流になっています。ベニヤ材を上下に2枚、間にそれらを支える芯材を枠組みして張り合わせます。

仕上げ方法により、さらに①突板張、②プリント合板、に分かれます。

①突板張棺

本物の天然木をスライスして薄くしたものをベニヤに張り付けて作ります。表面は確かに本物の高級木材を使用していますが、中はベニヤと空洞です。表面に貼る天然木にはさまざまな木材が使われますが、キリの突板張棺が主流になっています。中級品です。

②プリント合板棺

薄い洋紙に木目と色を本物そっくりに印刷し、それをベニヤの表面に張り付けた棺で、印刷技術の発達によってうまれました。印刷ですからバリエーションに富んだ品物を作ることができます。プリント合板の棺は最も安価ですが、中には突板張棺よりも高価なものもあり、普及品から中級品まで揃っています。

❸布張棺

フラッシュ棺の表面に布を貼ったものです。古くからある布張棺としては、キリスト教葬儀で用いる俗称「キリスト棺」、十字架の刺繍がある黒布で包まれた舟型の棺が有名です。 布張棺はファッション感覚に優れているとして特に故人が女性の場合に好まれています。また、さらに布張棺の上級品としてビロード張りのビロード棺があります。この他にごく少量ですが、段ボール棺も使用されています。

〇彫刻棺、インロー棺など

表面に彫刻が施された彫刻棺には、二面彫刻~五面彫刻、さらに機械彫りか手彫りかの区別があります。蓋に対面用の窓がついた棺、また、エンバ―ミング処置した遺体をよく見せるため、蓋の半分を外して透明なプラスティックの覆いをつけた棺などもあります。蓋部分に丸みをもたせた棺は、その形状から「R棺」と名付けられており、その他にも、本体と蓋の組み合わせを印籠にならった「インロー棺」など多彩な棺があります。

 

棺の納品形態には、材料を納品してもらって葬祭業者が組み立てる場合と、組みあがった状態で納品される場合の2つがあります。材料だけを納品してもらう場合は、多量に運搬できるというメリットがあり、通常フラッシュ棺で使用される方法です。

 

棺のサイズは、大きく、成人用と「子供棺」といわれる子供用のものとに分かれます。一応の標準は、外寸が長さ180㎝(165㎝~197㎝)×幅48㎝(43㎝~62㎝)×高さ41㎝(35㎝~50㎝)ですが、メーカーによって必ずしも統一されていません。また、火葬炉の大きさの制約を受けることもあります。

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